「白象」についての仏教説話はいくつかございます。

○白象はお釈迦さまの生母、マーヤ夫人の夢に現れてお釈迦さまの誕生を予言したといわれています。

○伝説によると、お釈迦さまは、白象の姿になって摩椰夫人(マヤブニン)の胎内に入り、摩椰夫人がルンビニー園で無憂樹(ムユウジュ)の花枝を手折ろうとした時に、右脇の下より誕生(4月8日)されました。お釈迦さまは誕生されるや、四方に七歩あゆんで、右手で天を、左手で地を指差して「天上天下唯我独尊(テンジョウテンゲユイガドクソン)」と声をあげられました。

○仏陀の前世について書かれた「ジャータカ物語」に次の一説。
(「ジャータカ物語」本生譚(ほんしょうたん)ともいい、仏教でいう前世の物語)
「その時みごとな白象となった未来の仏陀は近くの黄金丘をさまよってから、下って銀丘に至り、北方から彼女(マヤ、仏陀の母親)に近づいた。銀色の鼻に白い蓮の花を持ち、はるか遠くまで届く声を上げながら黄金の邸宅に入った。それから母の寝台に向かって三度敬礼し、彼女の右腹をやさしく打ち、それから彼女の腹中に入っていったに見えた。」

○託胎(たくたい)結婚して20年、子宝に恵まれなかった摩椰夫人(マヤブニン)は、ある夜、白象が天から降ってきて胎内に入る夢を見ました。子供を宿すということは、人間としての出発点ですし、人間のはからいを超えたものですから、その因縁の不思議さを象徴しているのです。

降誕(ごうたん)里帰りの途中、ルンビニーの花園で休まれた摩椰夫人は、美しいアショーカの枝を折りとろうとした瞬間、一人の王子を生みました。生まれたばかりの赤ちゃんが、将来にどんな可能性をも秘めていることを「天上天下唯我独尊(テンジョウテンゲユイガドクソン)」という言葉によって表現しているのです。

○「昔から象は神聖な動物であり、豊穣の象徴と考えられています。象を所有することは高位の証であり、仏教では象は縁起の良い動物だと信じられてきました。」

豊穣の動物・・・仏教では象は「雨を司る」動物とされています。「象の大地」とも呼ばれる、東北タイにあるスリンという町では「象は人生の伴侶であり、幸運、地位、強さ、多いこと、大きいこと」を意味する。また、夢の中に象が出てくると東北タイの人々は、「大きな仕事が来る、仕事が成功する」と信じます。妊婦の人が象の夢を見たならば、それは大変おめでたいことで、「生まれてくる子どもは宿善を備えていて偉い人になって一族に繁栄をもたらしてくれる」といわれています。


このような説話を沢山持った「白象」を、昭和40年代にお檀家の方がお作りになられ、縁あって観音寺の鐘楼堂に収めさせていただきました。以来、観音寺檀家信徒の方々や飯能幼稚園の園児たちを優しく見守ってくださっています。